人生blues

 新型コロナの感染者が最近また増えてきていて、第3波などといわれている今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

 最近感染者が増えてきているのは、単に気候が寒くなってきているからという説(だったら夏に流行ったのは何だったのかという気はしますが)とか、海外から人が入ってくるようになったからだとか、GoToキャンペーンのせいだとか、色々言われています。どれか一つだけが原因だとは思えないのですが、とりあえずGoToキャンペーンに関しては中止するらしいですね。まぁここまでやり玉に挙げられたのでは仕方ないですよね。

 しかし、いくらGoToキャンペーンをやったところで、実際JTBや近畿日本ツーリストが社員の削減を発表していたり、航空会社の業績が大幅に下がっていたりするわけで、あまり効果があるのかないのかという感じです。

 観光業界とか、飲食業とか、今までの常識が通用しなくなった世界でも、どうして日本人は今までの職業に固執しようとするのか。それは、日本のキャリア観的に、一生同じ仕事を続けるのが良しとされているからだと私は思います。それが新しい挑戦を阻害しているのではないかと。

 私は、プロフィールに書いたとおり、「勤めていれば一生安泰」といわれた職業を、あまりポジティブではない理由で退職しました。その後の就職の際に、毎回のように、なぜそこを退職したのかという理由を聞かれ、一応ポジティブに見える理由を答えるのですが、説得力がないのか、その後正社員として働いたことはほとんどありません。もう40代も半ばになって、今の仕事もいつまでできるか分からず、新しい挑戦もしづらくなってきて、「何をしたいか」というより、「何をすれば許されるか」という段階に入ってきたように思います。「何歳からでもやりなおせる」というのは、聞こえはいいですが、日本の社会の中では、あまりそれを許されないような空気を感じます。

 私はまだ独身だからいいですが、観光業や飲食業に携わっている私と同年代の人で、育ち盛りの子供と住宅ローンを抱えている中、このような状況に陥った人はもっと悲惨です。業界の先行きが見えないのに、日本のキャリア観のせいで、新しい挑戦をしたくてもできない人は、これからどうやって生きていけばいいのか。運が悪かったと思って諦めるしかないのか。

 例えば今まで武士だった人が、明治維新のときに、武士という職業がなくなった時だとか、今まで軍人だった人が、太平洋戦争後に、軍人という職業がなくなった時に、その後どうやって生きていくかを考えたかと思います。中には将来に絶望して自殺した人もいるかもしれませんが、生きていこうと決めた人はそれから何らかの行動をしているはずです。大げさかもしれませんが、今はそれに匹敵する時期だと思います。

 最近俳優やミュージシャンの中で、自殺する人が相次いでいます。色々と自殺の原因はあるとは思いますが、私は要因の一つにこれがあるのではないかと思っています。今まで信じてやってきた職業が、これからどうなるか先が見通せない。これから何をして生きていけばいいのだろうと自問自答し、他に生きていくすべが見当たらないから自殺する。そういうケースがあるのではないかと思います。何もこの世界で生きていくのが辛くなったのなら、引退してもいいと思います。それで新しく生きていくすべを考えればいいことです。芸能人は顔が割れているので、普通の企業に普通に就職とかは考えにくいかもしれませんが、むしろ芸能人当時の知名度を生かしたビジネスを立ち上げたりすることもできるわけで。何も絶望することはありません。せっかく手に入れた地位を手放すのかと言われるかもしれませんが、状況が変わったのです。そこに対応をしていかないといけません。例えそれが子供の頃からの夢だったとしても。子供の頃から野球選手になりたかった人が、選手生命を左右するケガをして、野球が続けられなくなったときに、そこで絶望して自暴自棄になるのではなく、生きていくために何か別のことを考えないといけません。それと同じです。

 本当はそこで新しい挑戦を応援できる世の中であってほしいところですが、なかなかそういう社会になっていないので、今までの職業に固執して無理なことをやってみようとしたりするのです。新しい挑戦のためのスキルの習得という問題は別にありますが、やったところで認めてもらえないのでは意味がないと思うと、モチベーションも上がりません。こういう職業移動がもっと日本でも簡単にできると、不幸な人がもっと減るのではないかと思うし、なんとかキャンペーンをやらなくても、経済への影響は低く抑えられるのではないかと思います。