ソロフェスにみるアイドルの未来。

去る7月4日に、ハロープロジェクトのメンバー52人が、一人ずつパフォーマンスを披露する「ソロフェス」が、CSテレ朝チャンネルなどで放送されました。これからこのイベントが行われた意義を語っていくのですが、CSチャンネルという、限られた人しか見られない映像だったので、アップフロントは、なんとかテレ朝と交渉して、自分のところのYouTubeチャンネルに、全メンバーのパフォーマンスをアップするべきです!それだけ今回のイベントは意味のあるものでした。私も全員分を見られたわけではありませんが、こぶしファクトリーの解散ライブを見るためにチャンネルに加えたテレ朝チャンネルに、その時以来合わせて、一部を見ることができました。

 舞台となったのは、東京・丸の内にあるライブハウス「COTTON CLUB」。今まで、ハロプロの卒業生がよく自分のライブやイベントで使っていた場所です。こんな時代なので無観客で行われましたが、かえってヲタクの掛け声がない状況で見られたのはよかったのではないかと思われます。

 メンバーは、くじ引きで順番を決められ、自分が選んだ、自分の持ち歌ではないハロプロ楽曲を、セルフプロデュースで披露していきます。歌一本で勝負する人もいれば、ダンスに力を入れる人もいるし、楽器を演奏する人もいるし、小道具を持ち出す人もいるし、ラーメンを食べる人もいるし(笑)、そのあたりは比較的自由にできるみたいです。最後はメンバー同士で投票が行われ、優勝者が決定します。今回は、曲中にタップダンスを取り入れたアンジュルム川村文乃さんが、2位に圧倒的な大差をつけて優勝しました。メンバーだけの票数では足りないと思うので、ファン投票を入れるとか(それだと人気メンバーに票が偏る可能性はあるけど)、3位ぐらいまで選んでもらって、点数で1位を決めるとかがあってもよかったかもしれません。

 今回のソロフェス、やはりメンバーはハロプロの曲をよく知っているなぁというのが正直な印象です。私自身は、いわゆるモーニング娘。の黄金期は追っていたものの、数年前に帰ってくるまで、ブランクがありました。したがってBerryz工房とかスマイレージとかは全然知りません。しかし、現役のハロプロメンバーは、自分が生まれるかどうかぐらいに発表された古い曲でもよく知っています。彼女たちのほとんどは、アイドルになりたいというのもあるけど、むしろハロプロに入りたいと思ってこの世界に来ているわけで、その辺の知識は持っているのだと思います。

 この番組の見どころは、もちろんメンバー個人のパフォーマンスはあるのですが、もう一つは、芸能界きってのハロプロファンである松岡茉優さんによる副音声です。解説にハロプロリーダーの譜久村聖さん(モーニング娘。'20)を迎え、一人一人のパフォーマンスを実況していきます。松岡さんは、元モーニング娘。鞘師里保さんに魅了されてこの道に入ったということですが、今ではメンバー全員に愛情をもって接することができるようになって、今回の企画にはうってつけでした。

 日本の女性アイドルの歴史を紐解いてみると、70年代80年代はアイドルといえばソロが主流で、おニャン子という例外はあるものの、多くても2人とか3人とかでした。その後ソロのアイドルがすたれ、90年代後半にシャ乱Qのロックボーカリストオーディションの次点者5人で結成されたのがモーニング娘。で、それからメンバーを増やしていって成功し、それがその後のAKBグループや坂道シリーズに発展していくわけです。つまり、アイドルの大人数化を主導したのはほかでもないアップフロントグループだったわけです。しかし、今年になって「密」になることが避けられるようになり、ステージ上で「密」になるのを避けるためには、そもそもステージに上る人数を減らすことが求められるということになりました。実際、今日から行われるハロプロのコンサートでは、メンバーが一人ずつステージに立ち、バラード曲を歌うというスタイルで行われます。

 ソロでステージに立つことで、今まで大人数に埋もれて個性を発揮できていなかったメンバーが注目されるといういい面もあります。それと、あまりいないとは思いますが、どうせ自分には誰も注目していないから、ステージの後ろの方で適当に踊っておけばいいと思っていたメンバーがいるとすれば、そうではなくて、ちゃんと仕事をしなさいということもできると思います。どちらにしても、個人の意識向上には大きく寄与することになるので、結果的に今回の趣向はとても良かったと思います。

この企画、ハロプロだけでなく、AKBグループなどの他のグループも、やるべき企画だと思います。特に、AKBグループは顔となるメンバーが次々と卒業していって、今はどんなメンバーがいるのかわからないという人も多いと思います。そんな人たちに、一人一人の個性が発揮できるパフォーマンスの機会が与えられたら、推してくれるファンが増えるかもしれません。

「『一人で生きられそう』って、それってねぇ、褒めてるの?」と言われますが、褒めています。というかこれからはそういうのも求められると思います。