距離の中にある鼓動。

星野源さんが発表した「うちで踊ろう」の動画。ネット上で色々と言及されているので、今更私が言うのもどうかと思うのですが、せっかくなので書いておきます。

星野源は「ごはん」だった。

あれは元々、各方面の表現者の皆さんが、今の状況でなかなか表現活動ができなくて困っている人が多いだろうから、星野さんが「何か一緒にやろう」と言って始めたもので、

例えるならば、星野さんが「ご飯を炊いておいたから、好きなおかずを持ち寄って食べよう。」と言っているということだと思います。最初のうちはおいしそうなおかずが色々と持ち込まれました。大泉洋さんやバナナマンさんは何も持ってきていないように見えて、ちゃんと持ってきていました。

しかし、もはや食べることすらできないものを持ってきてしまった人がいます。星野さんの言葉を借りれば、「安倍晋三さん」です。

招かれざる客、現る。

安倍晋三さんが何をしたのかも、ここであえて書くと、また血圧の上がる人が多くなると思うので、あの動画のオマージュとしてupされた(本人がそうテレビで言っていた)たむらけんじさんの作品をご覧いただきましょう。

たむらさんはあの動画を見事に料理したと思います。これが芸人の仕事だと思います。あの動画がなくても、たむらさんなら別の調理の仕方ができるとは思いますが、これでさらに輝きが増したのではないかと思います。

安倍晋三さんの動画に関しては、noteに詳しく書いてくださった方がおられるので、私が特に付け加えることはなくはないのですが、

安倍さんも65歳の普通のおじさんなわけで、立憲民主党の枝野代表が欅坂46に入れあげているような(最近はどうか知らないけど)音楽的な趣味があるという話も聞かないし、若者の間でちょっとこれが流行っているからやってみよう、みたいな、まるでタピオカでも飲んでみようかみたいなノリで来てしまったんですね。

星野さんの支持層である若者(に限らないかもしれないけど)にとってみれば、「何このおっさん」と思われても仕方のない状況、でもここでそのおじさんが、超絶スキルの何かをやりだしたら、最近の若者も一目置いたかもしれません。しかし安倍さんがやったことは、ただ犬と戯れ、何か飲み物を飲み、本を読んで、テレビを見るということをしただけ。

他の参加者はコーラスを入れたり、ダンスをしたり、楽器を弾いたりするなど、その人の個性が現れることを、色々していました。

先ほど大泉洋さんの例を出しましたが、

これは大泉さんの強烈な寝ぐせにもっていかれるし、これはこれで作品として成立しています。でも、犬と戯れ、何か飲み物を飲み、本を読んで、テレビを見るぐらいなら、誰でもできそうです。むしろ、今この状況で、落ち着いてこういう生活ができていない人も多いと思われますが。(そのあたりが、今回の安倍さんの動画を「貴族か!」と揶揄する人がいる所以ですが)

これだけでも「何このおっさん」と言われるのに十分な状況ですが、さらに問題をややこしくしたのは、安倍さんの職業にあります。安倍さんの職業、それは…総理大臣!

総理大臣なのに、今そうやって家でのんびりしている状況をネットにupするのが、どういう反応を引き起こすか、という空気の読み方が全然できていない。安倍さんの部下の人たちが、色々と空気を読みすぎたせいで、今までの森友学園とか桜を見る会とかの問題が起きているのに、そのあたりの反省が全然できていない。空気を読まずに星野さんの動画にただ乗りしているという点と併せて、二重の意味で空気が読めていない。これに尽きると思います。

官房長官は、「過去最高の35万を超える『いいね』をいただいている」と豪語していますが、これもSNSのことを何も分かっていないおじさんの戯言です。各種SNSで、マイナスの評価を表現できるのはYouTubeぐらいで、InstagramTwitterもマイナスの評価を表現するツールがありません。何かリアクションを起こすには、「いいね」ボタンを押すしかないのです。ある意味SNSのバグです。(だからといって改善する必要はありませんが。)「いいね」の数は、それだけ評価されたという意味ではないということを、この機会に菅さんにも知っていただきたいと思います。

これまでの政府の対応を、今回のコラボで的確に表現した人がいます。岡崎体育さんです。

たかが1分ほどの動画でネタバレもクソもないので言ってしまいますが、トライアングルを手に持った岡崎さん、手元にはキーボードもあります。演奏する気満々に見えて、実は何もしていないんですね。まさにこれは今の政府の対応と同じだと思います。国民に「外出自粛」を要請しておきながら、休業補償は現実的でないと言ってみたり、消費税引き下げは考えていないと、マスクから鼻を出したまま言っているような国だし、給付金があるとはいえ、手続きが煩雑で、どれだけの人がもらえるのかと言われているし、とお金の話ばかりしてしまいましたが、この期に及んで、国会議員が「働かざる者食うべからず」とか言い出して目も当てられません。

そして話は面倒くさい方向へ。

もう一つ、安倍晋三さんがただ乗りしたのがきっかけで面倒くさいことになっているのが、この辺りの界隈の皆さん。

ミュージシャンは反権力たれ!というのが70年代から続く伝統らしいですが、特に星野さんはそのあたりの意見を表明した記憶はありません。むしろ星野さんは、かつて朝ドラにも大河ドラマにも出たことがあるし、紅白は常連だし、NHK不定期だけど冠番組を持っているし、そういう意味ではどちらかというと権力者側の人です。(本人はそういう分け方を好まないだろうけど)そのあたりもあっちの人たちにとっては不満なんでしょうね。それと、今を時めく星野源を、この機会にこっちの陣営に引き込むことができなかったことを、後悔しているのかもしれません。でも今回に関して言えば、星野さんにとってはもらい事故です。空気を読まずにズカズカと踏み込んできた安倍さんの方に落ち度があります。前述したように、星野さんは「安倍晋三さん」と肩書をつけず個人名で言及し、他の投稿者と区別するつもりはないと言っています。今回の件に関して、星野さんがこれ以上の言及をする必要はないと思います。

私も早く「うちで踊」りたいです。世間のありとあらゆる学校が休校になっているのに、私の通っている職業訓練校は未だ休校するつもりはないそうです。外出自粛は勝手だけど、それだと欠席扱いになるとのこと。webクリエータ科だから一番在宅に向いているはずなのに…

※今回のタイトルの「距離の中にある鼓動」は、星野源さんの代表曲「恋」の中の一説です。今回の状況にとてもマッチしているので採用させていただきました。まさかこの時に今の状況を予感していたわけではないと思いますが…